「国語の成績が伸びない」

「記述問題が全然書けない」

「文章を読んでも、内容が頭に入らない」


こうした悩みを持つ保護者の方が増えています。


その原因として、「読書量が足りない」「語彙力がない」といったことが挙げられます。

たしかに、それも要因の一つでしょう。


しかし、私はもっと根本的な原因があると考えています。

スマートフォンです。


今日は、スマホが国語力に与える影響について、研究データと指導現場の視点から分析します。


東北大学の大規模調査が示すデータ

東北大学加齢医学研究所は、仙台市教育委員会と共同で、小中学生7万人を対象とした大規模調査を実施しています。

その調査結果は、衝撃的なものでした。


データ①:2時間勉強しても、スマホ3時間で成績が逆転

毎日2時間以上勉強している生徒でも、スマホを3時間以上使用すると、ほとんど勉強しないがスマホも使わない生徒より成績が低いという結果が出ました。


データ②:睡眠時間を確保しても、スマホ3時間で偏差値50未満

「スマホを使うと睡眠時間が減るから成績が下がる」という仮説がありました。

しかし、睡眠時間を考慮しても、スマホ3時間以上の生徒は平均偏差値が50を下回るという結果が出ています。


データ③:集中30分 = ながら3時間

スマホを触りながら3時間勉強した生徒と、集中して30分勉強した生徒の成績はほぼ同じでした。

2時間30分の勉強が、無駄になっている計算です。


これらのデータから分かるのは、スマホの影響は「時間を奪う」という間接的なものではなく、脳の働きそのものに直接作用している可能性があるということです。


スマホが国語力を低下させるメカニズム

では、なぜスマホが国語力に悪影響を与えるのでしょうか。

3つの観点から分析します。


①「読む力」への影響:短文処理に最適化された脳

スマホで接する情報の特徴を整理します。

媒体文字数特徴
LINEメッセージ数文字〜数十文字断片的、即時的
SNS投稿数十文字〜百数十文字短く、インパクト重視
動画コメント数文字〜数十文字反射的な反応

一方、国語のテストで求められる読解力は以下の通りです。

求められる力内容
長文読解数千字の文章を最後まで読み通す
文脈理解前後の関係から意味を推測する
構造把握文章全体の論理構成を理解する

この2つは、まったく異なるスキルです。


スマホに慣れた脳は、「短い情報を素早く処理する」ことに最適化されています。

その結果、長い文章を読むときに集中力が持続しない途中で何を読んでいたか忘れるという現象が起きます。


②「書く力」への影響:言語表現の機会喪失

現代の子どもたちのコミュニケーションを観察すると、興味深い傾向が見えます。


従来のコミュニケーション現在のコミュニケーション
電話で長く話すLINEで短文+スタンプ
手紙を書く既読スルー or 絵文字
言葉で気持ちを伝える「www」「草」で済ませる

言葉を使って表現する機会が、圧倒的に減っています。


国語の記述問題では、「自分の言葉で説明する」ことが求められます。

しかし、普段から言葉を使っていない生徒は、いざというときに言葉が出てこないのです。


「何を書けばいいか分からない」

これは「考えていない」のではなく、「言語化する回路が弱い」のです。


③「考える力」への影響:思考停止の習慣化

スマホがあれば、分からないことはすぐに検索できます。


従来の思考プロセススマホ時代の思考プロセス
分からない → 考える → 調べる → 理解する分からない → 検索 → コピペ

「考える」というプロセスが、スキップされているのです。


国語の読解問題、特に記述問題は、「答えが本文に書いてある」わけではありません。

本文の情報を自分の頭で統合・再構成して、答えを導き出す必要があります。


しかし、「分からない → 検索」という習慣が身についている生徒は、自分で考えることを放棄してしまう傾向があります。


脳科学からの知見

川島隆太教授の研究では、スマホ使用時の脳活動についても調査されています。


注目すべきは、スマホを使用しているとき、脳の「前頭前野」の活動が抑制されるという結果です。


前頭前野は、以下の機能を担っています。

機能説明
思考・判断論理的に考え、判断する
集中力一つのことに注意を向け続ける
ワーキングメモリ情報を一時的に保持し、操作する
言語処理言葉を理解し、生成する

これらはすべて、国語力の根幹をなす機能です。


スマホを長時間使用することで、前頭前野の働きが抑制される。

その結果、「読む力」「書く力」「考える力」が育たない。


これが、スマホが国語力を低下させるメカニズムの一つと考えられます。


「読めない・書けない・考えられない」からの脱却

では、どうすればこの状況を改善できるのでしょうか。


対策①:スマホ使用時間の制限

東北大学の研究では、スマホ使用は1日1時間以内が推奨されています。


完全に禁止するのは現実的ではありません。

しかし、「勉強中は物理的に離す」「夜10時以降はリビングに置く」など、使用時間を制限する仕組みを作ることは可能です。


対策②:長文を読む機会を意図的に作る

短文処理に最適化された脳を、長文読解に対応できるように「再訓練」する必要があります。


方法効果
新聞・本を読む長文を読み通す体力をつける
音読する脳をフル活用し、前頭前野を活性化
要約する読んだ内容を言語化する訓練

対策③:「書く」機会を増やす

スタンプや絵文字ではなく、言葉で表現する機会を意図的に増やすことが重要です。


方法効果
日記を書く自分の考えを言語化する習慣
感想を書く読んだ・見た内容を言葉で表現
記述問題を解く制限時間内に言語化する訓練

国語力は「取り戻せる」

スマホによって低下した国語力は、適切なトレーニングで回復させることが可能です。


大切なのは、「なぜ国語ができないのか」の本当の原因を理解すること。

そして、その原因に対して正しいアプローチをすることです。


「センスがない」「才能がない」ではありません。

読み方・書き方・考え方を、正しく学べば、国語力は伸びます。


LOGIQUE大宮校では

LOGIQUE大宮校は、国語専門のオンライン指導塾です。


「読む力」「書く力」「考える力」を体系的に指導しています。


特に重視しているのは、以下の3点です。

指導内容目的
精読トレーニング長文を正確に読む力を養う
記述力養成自分の言葉で表現する力を養う
論理的思考力文章の構造を把握し、考える力を養う

「国語が苦手」には、必ず原因があります。

その原因を特定し、一人ひとりに合った指導を行います。


「読めない・書けない・考えられない」

そんな状態から脱却したい方は、ぜひ一度ご相談ください。


LOGIQUE大宮校

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参考文献:

  • 東北大学加齢医学研究所「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」
  • 川島隆太『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)
  • 榊浩平・川島隆太『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)